コーヒーメジャー 第3回
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豆は30°まではこぼれない。すり切り1杯と「傾き」の関係を計算した

前回、市販のコーヒーメジャーの柄は全部ほぼ水平だと書きました。
柄が水平だと、缶の縁を越えるときにボウルが前に傾きます。では、何度傾くと、どれだけ豆が減るのか。 今回はそれを計算しました。
豆は「斜面」を作って止まる
砂や豆のような粒は、ある角度より急な斜面を作れません。それ以上急になると崩れて流れ落ちます。この角度を「安息角」といい、コーヒー豆ではだいたい30°です。
ボウルを傾けると、縁から内側へ、この30°の斜面より上にある豆は載っていられずにこぼれます。
そこで、ボウルを0.6mm角の小さな立方体に切り分けて、傾けたあとも斜面の下に残る分だけを数えました。
条件は次のとおりです。
- ボウル:半球・円筒・円錐の3つの形。どれも すり切り25ml(中煎りで約9.4g) にそろえる
- 傾き:0°から60°まで
結果:30°が境目
上の図は半球のボウルの真ん中の断面です。茶色が残る豆、赤がこぼれる豆です。
| 前に傾けた角度 | 残る量(半球) |
|---|---|
| 0° | 9.4g |
| 20° | 9.4g |
| 35° | 8.4g |
| 50° | 5.2g |
わかったことは3つです。
- すり切り分は、30°傾けるまで1粒も減らない。 30°を超えると、5°ごとに約1g(約1割)ずつ減っていく。「少しの傾きは平気、ある角度を超えると急に減る」という減り方です
- 山盛りにすくった分は、傾け始めた瞬間から落ちる。 山盛り約12gは、15°で約11.4g、30°ですり切りと同じ約9.4gになります。最後にすり切るなら、効いてくるのはすり切り分の減り方のほうです
- ボウルの形の差は小さい。 深く傾けたとき、いちばん残るのは円筒、いちばん減るのは円錐。それでも50°で 5.9g と 4.9g、1g ほどの差です
前回の「33°」はここから出てくる
缶の中で柄が縁に当たらないようにすると、ボウルはある程度傾きます。
この傾きを30°以内に収められれば、すり切り分は減りません。
体の楽な姿勢(手首を15°以上曲げない)と、缶の縁との位置関係、そしてこの「30°までは減らない」を組み合わせて計算すると、まっすぐな柄でいちばん楽なのは33°、ほぼ同じくらい楽なのは25°〜49°という結果になりました。
注意
- 安息角は、本や論文によって24°〜40°と幅があります。豆の煎り具合や保存状態で、境目は±5°くらい動くと見ています。ただ「30°前後が境目」という形は変わりません
- ここまでの数字はすべて、自分で組んだ計算モデルの値です。実物で量るのは、試作の回でやります
次の回では、まっすぐな柄だけでなく、途中で曲げた柄も含めて5つの形を比べます。