たまごの中のひよこ 第3回
03
ひよこを、しずくまで削る

最初に作ったひよこは、部品が6つありました。
頭の球、胴の球、羽、しっぽ、くちばし、目。いかにも「絵本のひよこ」です。
窓からのぞいたときに、ひよこだとすぐわかる。それは良かったのですが、置物として並べると、少しにぎやかすぎました。
もっとミニマルに、デザイナーズの置物のような静かさにしたい。そう考えて、形を削り直しました。
削った3案
たまごと窓はそのままで、ひよこだけ3つ作りました。
| 残したもの | 印象 | |
|---|---|---|
| しずく | 形・点の目・くちばし | やさしい。窓からすぐひよこだとわかる |
| たまご | 形・くちばし | いちばん静か。たまごの中に、もう一つ黄色いたまご |
| ファセット | 8角の面・くちばし | シャープで、いちばんプロダクトらしい |
しずくは、胴と頭をくびれなしの一つの回転体にしました。頭を胴の真上に置き、羽としっぽはなくしています。
たまごは、ひよこ自体をたまご形にして、目も取りました。
ファセットは、しずくの輪郭を8角形で回して、多面体にしています。
しずくに決めた
選んだのは、しずくです。
たまご案はいちばん削れていますが、窓からはくちばししか見えません。ひよこだと気づくまでに、一拍かかります。
ファセット案は格好いいものの、顔がないぶん、のぞいたときに「目が合う」感じがありません。
しずくは、のぞいたときにひよこだと読める最低限だけを残した形です。
目とくちばしがあるから、窓の奥で目が合う。それ以外は全部なくしました。

削っても、出られない
形を変えても、出られない条件は変わっていません。
3案とも、いちばん細い向きで測っても胴が18mm以上あり、窓(17mm)を通りません。殻とのすき間も0.6mmのままです。
次の回では、このしずくに、黒を一滴だけ足した話をします。