たまごの中のひよこ 第2回
組んだまま1回で刷る — 出られない寸法の決め方

前回、このひよこは「外に出せない」と書きました。
今回は、それをどうやって寸法で決めたかの話です。
出られない条件は、3つの数字で決まる
ひよこがたまごから出るには、どこかの穴を通るしかありません。
穴は2つあります。顔をのぞかせる窓と、底の穴です。
| 大きさ | |
|---|---|
| ひよこの胴(いちばん細い向きで測っても) | 直径20mm |
| 窓 | 17×14mm |
| 底の穴 | 直径9.2mm |
胴が、窓よりも底の穴よりも大きい。これだけで、ひよこは出られません。
ひよこは回転体なので、どの向きに傾けても胴の太さは20mmのままです。
では、なぜ底に穴があるのか
ひよこは、殻の中に浮いているわけではありません。
刷るときは、ひよこの足元が底の穴を通って、直接ベッドに立っています。
3Dプリンタは下から積むので、ひよこの最初の層にも土台が要ります。
殻の床の上に積むと、殻とひよこがくっついてしまう。そこで床に穴をあけ、ひよこだけがベッドから立ち上がるようにしました。
足元は直径8mmの円柱で、穴とのすき間は0.6mmです。
すき間は0.6mm
殻とひよこが近すぎると、刷っている途中で溶けてくっつきます。
離しすぎると、窓から見たときにひよこが遠く、小さく見えます。
今回は、いちばん近いところで0.6mmにしました。3Dモデル上で重なりは0です。
0.6mmで本当にくっつかないかは、刷ってみるまでわかりません。実況の回で確かめます。
窓のふちを、上向きのとがりにした理由
窓は、割れた殻のようなジグザグにしています。
見た目のためでもありますが、本当の理由はサポートなしで刷るためです。
3Dプリンタは、空中に水平な天井を作るのが苦手です。四角い窓の上の辺は、何もないところに橋をかける形になります。
上の辺を山形のとがりの連続にすると、どの部分も下の層から少しずつせり出すだけで済みます。割れた殻にも見えて、一石二鳥でした。
ひよこの胴の下側も同じ考え方で、足元の円柱から45°で広がるようにしてあります。
これで、たまごもひよこも、サポートなしで刷れる形になりました。
背中には小さな窓
正面の窓だけだと、中が暗くなりそうでした。
背中側に、ひし形の小さな窓をもう一つあけています。ここから光が入ります。
白いPLAは光を少し通すので、実物は3Dモデルの図より中が明るく見えるはずです。これも刷ってから確かめます。
次の回では、ひよこの形の話をします。