たまごの中のひよこ 第1回
割らないと会えない置物を作っている

キーボード、コーヒーメジャー、腕日時計に続いて、4つ目に作り始めたものがあります。
白いたまごの殻のひびから、黄色いひよこが顔をのぞかせている置物です。
ひよこは、たまごの中にいます。
そして、外には出せません。 殻を割らないかぎり、会えないひよこです。
なぜ置物なのか
これまでの3つは、どれも「ちゃんと使える道具」でした。打ちやすいキーボード、こぼれにくいスプーン、時間が読める腕時計。
今回は逆に、使い道のないものを作ってみたくなりました。
条件は2つだけです。かわいいこと。そして、3Dプリンタで作る意味があること。
使えないけれど、3Dプリンタでしか作れない。そういう小さな置物です。
3Dプリンタでしか作れない形
このたまごとひよこは、組み立てた状態のまま、1回で刷ります。
ひよこの胴は直径20mm。殻の窓は17×14mm、底の穴は直径9.2mmです。
どこを通しても、ひよこは外に出られません。あとから中に入れることもできません。
型に流す作り方や、削り出す作り方では、この「中にいるのに出られない」は作れません。
層を1枚ずつ積み上げる3Dプリンタだから、殻とひよこを同時に、すき間をあけて積めます。
刷り上がったら、振るとひよこが中でコロコロ転がる…はずです。
まだ実際には刷っていないので、本当に転がるかは実況の回で確かめます。

いまの形
| たまご | 40×40×高さ50mm、殻の厚さ1.6mm、白 |
| ひよこ | 20×20×高さ28mm、黄。目だけ黒 |
| 窓 | 17×14mm。顔の高さにあり、目とくちばしが見える |
| 印刷 | Bambu Lab A1・3色・サポートなし。約5時間14分(計算値) |
ひよこは、最初はもっと「絵本のひよこ」でした。頭と胴の2つの球に、羽、しっぽ、くちばし、目。
そこから削れるところまで削って、いまの「しずく」の形になっています。その話は第3回で書きます。
この連載の進め方
- しくみ:出られない寸法をどう決めたか。サポートなしで刷れる窓の形
- 形:ひよこを、しずくまで削った話。黒い目を一滴だけ入れた話
- 調べる:似たものが世の中にないか、探してみた
- 刷る・撮る:実際に刷って、転がるか、目が丸く出るかを確かめる