たまごの中のひよこ 第7回
出られない、をやめた。ぱかっと開けると、顔がのぞく

ここまでずっと、「たまごの中から出られないひよこ」を作ってきました。
窓、かけら、フタと形を変えても、いつも中心にあったのは「出られない」でした。
でも、置物として手に取ったときに、いちばんうれしい瞬間は何だろう。
考えた末に、ここをやめることにしました。
たまごを開けたら、ひよこがこっちをのぞいている。 その一瞬のほうが、ずっとかわいい。
中央より少し上で、上下に分ける
たまごは、ぎざぎざのひびで上下に分かれます。
ひびの高さは、正面でたまごの下から28mm。全体の高さ50mmの、真ん中より少し上です。

ひびの形は前回と同じ考え方で、外へ行くほど高くなる円すいです。どこも45°以上の傾きがあるので、上も下もサポートなしで刷れます。
下のたまごに、ひよこの台を作る
下のたまごの中には、ひよこを立てる台があります。
直径15mmの柱で、上はひよこの胴(半径10mmの球)に合わせた丸いくぼみです。
ひよこの底も、平らな足をやめて丸くしました。くぼみに丸い底がすっぽり入るので、ひよこの向きを好きなほうへ回せます。

台の高さは、ひよこの顔の位置で決めました。
くちばしが正面のふちより2.5mm上、黒い目がその2mm上に来るようにしています。上を外すと、ちょうど顔だけがふちからのぞきます。
上のたまごは「すそ」で立てて刷る
上のたまごには、内側に厚さ1.2mmの輪(すそ)を下へ伸ばしました。
かぶせると、すそが下のたまごの内側に入って位置が決まります。ぎざぎざがかみ合う向きでストンと閉まります。
刷るときは、このすその平らな底を下にして立てます。倒れないよう、上のたまごにだけ薄いふち(ブリム)を付けました。
もうひとつ工夫したのが、上のたまごの天井です。
ドームの天井はてっぺんほど傾きがゆるくなり、立てて刷るとだれます。そこで天井を45°の円すいで埋めました。そのぶん少し重くなりましたが、フタとしてはむしろちょうどいい手ごたえです。
2枚のプレートに分ける

最初は、たまごもひよこも1枚の皿にまとめて刷るつもりでした。
ところが計算すると、約5時間かかります。ひよこの高さまで、白と黄色のフィラメントを毎層入れ替えることになるからです。使うフィラメントの大半も、入れ替えのたびに捨てる分でした。
そこで、1つのファイルの中で皿を2枚に分けました。
| プレート | 中身 | 時間 | 重さ |
|---|---|---|---|
| 1 | たまごの上と下(白) | 37分 | 15.1g |
| 2 | ひよこ(黄+黒目) | 35分 | 約6.6g |
丸い底のひよこだけは、底の下にサポートが付きます。たまごは上も下もサポートなしです。
ひよこは出し入れ自由になったので、刷る途中で止めてひよこを入れる手間もなくなりました。
くちばしを付け忘れていた
ひとつ白状しておきます。
底を丸くした版を作ったとき、組み立ての式を間違えて、くちばしの部品を足し忘れていました。 正面から見た絵では、黄色いくちばしが胴と同じ色で目立たず、気づくのが遅れました。斜めから見て、ようやく分かりました。
いまは直っています。
次は、いよいよ実機で刷ります。上と下のすき間はいちばん狭いところで0.15mm。ぴったり閉まるか、ゆるすぎないか、刷ってみて確かめます。